独特の見た目や味で敬遠されがちな本県の郷土料理しもつかれだが、「7軒分を食べ歩くと無病息災になる」とのありがたい言い伝えがある。調べてみると、初午(はつうま)の時季には東京都内にも、しもつかれ提供店がわずかにある模様。健康としもつかれの新たな魅力発見を期待し、食べ歩いてみた。
まず訪れたのは四谷3丁目の和食居酒屋「酒・肴(さかな) くりや」。宇都宮市出身の店主勝沼保枝(かつぬまやすえ)さん(58)が関西出身の常連客の要望で作り始めた。「私も生臭いのが嫌いだから」と丁寧に仕込んだ一品は特に男性客に人気という。確かにお酒が進む。
新宿御苑前の日本料理「旬菜 みつや」のしもつかれはまろやかな味だ。「(濃厚な味で)かにみそ入りと勘違いされることもある」と、さくら市出身の店主小長光史也(こながみつふみや)さん(50)。自身も生粋のしもつかれ好きで、在ノルウェー日本大使館の公邸料理人時代に振る舞い、多くを食べ残されたという逸話を持つ。
作家池波正太郎(いけなみしょうたろう)が愛した築地のとんかつ店「かつ平」は夜のサイドメニューに。先代の妻で茨城県境町出身の相野谷静枝(あいのやしずえ)さん(78)が築地場外市場のサケなどで作る“おふくろの味”だ。